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AFTER STORY 12月号

2021.12.03

TEDxSapporoでは、イベントや動画を通してスピーカーの素晴らしいアイデアを広げて来ました。そんな、スピーカーの現在の活躍の様子をお伝えするのが「AFTER STORY」です。

AFTER STORYについての詳しい説明は前の記事をご覧ください。

【関連リンク】 企画!「AFTER STORY」

「AFTER STORY 第2弾」最後の一人は、TEDxSapporo 2016年に登壇された、 mmhmm の投資家兼エンジニア 中島 聡さん です。

まずは、中島 聡さんの紹介をさせていただきます。

高校時代からコンピューターに強い関心を持ち、学校に通いながら株式会社アスキーでパソコン雑誌の記事執筆やソフトウェア開発を行っていました。そして、大学時代にはパソコン用CADプログラム「CANDY」を開発しました。

大学卒業後は日本電信電話株式会社に入社し武蔵野通信研究所に配属されるが、日本マイクロソフト株式会社の設立を機に転職し、米国マイクロソフト・コーポレーションに移りましました。次世代OSのユーザーインターフェイスの設計に従事し、Windows 95、Internet Explorer 3.0/4.0、Windows 98のソフトウェア・アーキテクトを務めていた経験もあります。

2000年にマイクロソフトを退職後、ベンチャーキャピタル勤務を経てUIEvolution株式会社を設立。最高経営責任者として、GUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)表現のためのフレームワーク「UIEngine」等の開発を行いました。2004年、株式会社スクウェア・エニックスに買収されるが、MBOにより再び独立しました。インテル・キャピタル・コーポレーションおよび伊藤忠商事株式会社からの出資に合意し、再びベンチャー企業としての道を歩み始め、2016年最高経営責任者として復帰を果たしました。その後2019年に UIEvolution株式会社を売却し、2020年にmmhmmで投資家兼エンジニアとして活躍されています。

ここで、当時のTEDxSapporoの映像を共にご覧ください。

TEDxSapporo 2016 「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」

Question

TEDxSapporo登壇後の活動や中島さんが考える今後の働き方について教えてください。

Answer

UIE volutionという会社を2000年に1度作って知り合いに経営を任せていましたが、2007年に買い戻し、2016年には再びCEOとして復帰しました。

それから1年間様々な活動を経て、2020年8月頃にmmhmmに出会いました。すごく面白い会社が始まったと聞き、直接CEOのフィル・リービン氏と連絡を取り、投資もしたいしエンジニアとしても働きたいとお話をして、すぐに入社することが決定しました。mmhmmは映像のバックグラウンド やスライドを変えたりすることができるソフトです。mmhmmはシリコンバレーにあり、この会社は基本的に全部リモートなのでオフィスはなく、エンジニアの方は世界中で働いています。

mmhmmのようにオフィスがなく世界中から社員が集まるという働き方は、今は珍しいかもしれません。しかし今後増えてくると思います。基本的に実力さえあれば誰でも入る ことができ、住んでいるところと働く場所が近い必要が全くありません。アメリカのテクノロジー系の給料の高い会社に勤めつつ、生活費のあまりかからないところに住めるようになるのはとてもいい話だと思います。日本で育ったエンジニアも、海外で育ったエンジニアにもそんなに大きな違いはありません。言語の壁を心配する人もいるかもしれませんが、逆に言えば英語さえ話すことができれば、僕は今後どこでも働ける社会になると思うので頑張っていただきたいです。

Question

中島さんの発想力はどこからきていますか?また、現在開発しているものや今後開発したいものなどはありましたら教えてください。

Answer

子どもの頃からSF小説をよく読んでいたので、未来ではこんなことができるのではないか、という妄想をよくします。その妄想こそが夢であり、発想力なのではないかと思います。

今現在している活動としては、アメリカでドローンの会社を立ち上げました。アフリカでは動物の密輸や絶滅しかけている動物が多いことから、ドローンを使用することでどこに何頭いるのかなど、動物の生態系の把握ができるのではないかと考えています。

僕はその中で、ドローンの電力を供給するためにはアフリカ中にドローンのチャージングステーション(ドローンが充電できる場所)を作ったほうが良いと考え、大量のチャージングステーションを設けるためには、太陽光で発電できるオフグリッド式が良いのではないか。そのチャージングステーションを設置するのに大きなドローンを使うのはどうかなど、エンジニアとして問題解決にあたっています。

今後開発したいものは、複数のドローンを操って音楽に合わせて飛ばすようなゲームアプリの開発など、まだまだ沢山あります。特に是非やりたいと思っているのは、少子高齢化対策として少し敷居の高いマッチングアプリを開発したいと考えています。

アプリ内でお互いの情報が何もない中、マッチングした2人で協力してゲームをクリアします。その中で「この人とゲームするのが楽しい」「この人と気が合いそうだ、話してみたいな」というような気持ちが生まれ、気づいたら好きになっているというものです。その相手と一緒により難しいゲームにクリアすると、相手の連絡先を知れるようにします。従来のマッチングアプリとは違い手間がかかるので、変な目的の人は寄ってこないのではないかとも思います。

Question

最後の質問です。中島さんが今でも開発を続ける理由を教えてください。

Answer

それはもう『楽しいから』の一言でしかないですね。僕はスティーブ・ジョブズさんをすごく尊敬しています。彼の「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?」という言葉があります。彼は、明日自分が本当に死ぬって知っていたとして今やっていることをするかと、自分 に尋ねながら行動していたくらい時間を無駄にすることが嫌いだったみたいです。そのことを知ってから僕はせっかく生きているのであればもっと面白いものを作って世の中に貢献したい、人に喜んでもらいたいと思っています。そうやって考えていくと自分が得意なこと、僕にとって物作りをしていくということが一番の幸せだと思っています。

そのため、今やろうと思っていることがあって悩んでいても色々試しでやるしかないと思います。任天堂の岩田さんが言っていた言葉で「やっぱり、人間が一番幸せなのは、自分が得意なこともしくは、楽しいことに世の中が価値を見出してくれる時」という言葉があります。確かに、好きなことをやって生きていくのが一番素敵ですが、それでみんなが喜んでくれるか世の中が必要としているものかは別です。それだと稼ぐことが出来ません。そのため、世の中が必要としているものと自分が提供できること、得意なことのマッチングを見つけるしかないと思います。僕はソフトウェアを書くことに出会えたことがラッキーだったと思っています。ぜひ皆さんもそういうものを見つけてください。

おわりに

中島さんは、時差がある中シアトルとzoomを繋いでインタビューに答えてくださいました。また、実際に「mmhmm」を使って背景の桜の映像を映してくれました。そして、身近な体験から新しい発見などが得られ、沢山のアイデアが生まれるということを教えてくださりました。インタビューをしていく中で私たちは、その素晴らしい発想力に感動しました。

また、現在リモートでアメリカのシリコンバレーで働いているという中島さんの実体験からも、今後どこにいても世界中で自由に働ける社会になると語っており、これからの新しい未来や日本、社会に向けたアイデアも聞かせくださいました。

中島さんのように、自分が楽しいと感じることを形にし、住む場所を気にせずに働ける暮らしができると、また新たなアイデアが生まれるように感じました。
インタビュー中に話されていた少子高齢化対策としては、少し敷居の高いマッチングアプリなど、これから中島さんのユニークなアイデアが実現し世界中に広がることも楽しみにしています。

AFTER STORYでは、これからもTEDxSapporoに登壇してくださった方の現在を追いかけていきます