AFTERSTORY 3月号
2021.03.02
TEDxSapporoでは、イベントや動画を通してスピーカーの素晴らしいアイデアを広げて来ました。そんな、スピーカーの現在の活躍の様子をお伝えするのが「AFTER STORY」です。
AFTER STORYについての詳しい説明は前の記事をご覧ください。
「AFTER STORY」2人目は、色を見分けにくい人のための色覚補助ツールである色のめがねを開発したあの方にお話を伺いました。TEDxSapporo 2012年・2013年に登壇された独立系研究者の浅田一憲さんです。
まずは、浅田さんの紹介をさせていただきます。
浅田さんは、医学とメディアデザイン学の2つの博士号を持つ独立系研究者です。複数の専門分野(IT、暗号学、医学、数学、メディアデザイン学、色彩学)を持つ独立系研究者として活躍しています。2010年には、色弱の人ために、色を見やすく見分けやすくするための色覚補助ツール「色のめがね」と、一般の人が色弱の人の色の見え方を体験することができる「色のシミュレータ」を開発しました。さらに、2011年には、老視・白内障・弱視などの人ための読字補助ツール「明るく大きく」を開発し、すべて無償でリリースしています。これらのソフトウェアは、世界中の約110万人の人々に愛用されています。
ここで、当時の映像をご覧ください。
TEDxSapporoChange 2012 「色覚と人間の多様性」
TEDxSapporo 2013「飛び込まなければ道は開けない」
Question
TEDxSapporoの登壇後の活動について教えていただきたいです。
Answer
一つ目は、2020年の4月から旭川市の江丹別に熱中小学校江丹別分校という大人が行く小学校ができ、そこの校長先生に就任しました。今はこの活動が一番忙しいとのことでした。「外との接点がない人に、日本にはこんなすごい人がいるんだということ伝えられるように、熱中小学校の先生としてすごい方々を呼ぶのが僕の役割の一番大きいところ」だと力説してくれました。
二つ目は、TEDxSapporoで紹介した色のめがねや色のシミュレータという色覚多様性を持った人のためのサポートアプリや、文字が読みにくい人、色があまり見えない人のためのサポートアプリなども作り続けているそうです。Android版のこれらのアプリは、2年ぐらい前にオープンソースとしてソースコードなどの全てを公開し、誰でもそれを見たら同じアプリを作れるようにしたそうです。
浅田さんはずっと同じことをやるのが嫌いで、できるかできないかわからないことをやってみたいという気持ちがあり、TEDxSapporo登壇後も色々なところに飛び込んで活動しているようです。
Question
熱中小学校江丹別分校の校長先生をしていると思うんですが、どんな活動をしている学校なのですか?また、活動を通じて感じたことはありますか?
Answer
熱中小学校とは、「もういちど7歳の目で世界を…」をスローガンに掲げ日本全国にある廃校を利用し、企業経営者や研究者などのすごい人を講師として呼ぶことで、大人になってからもう一度子どものような気持ちで話を聞いたり体験し学んでいく「大人が行く学校」として活動している学校です。
この熱中小学校を通じて村おこしをしたいという目的から江丹別でも活動が始まりました。
この活動を核として、現在江丹別では関係人口が増えてきており、レストランを誘致したり、パン屋さん・宿泊場所・サウナ・森林浴ができる場所などの建設計画が進んでいる。日本一寒い場所として知られる江丹別は、青いチーズや蕎麦でも有名です。そこに色々な施設を建設することで、何もないところから村を作る楽しさを感じています。
[関連リンク]
熱中小学校HP
Question
色覚多様性や弱視の方に向けたアプリ開発などをしていますが、今後新しいアプリの開発を考えていらっしゃいますか?また、今後の夢や展望などがあれば教えてください。
Answer
新しいアプリの開発案の一つ目は、色々な分野に手を出していて最後までできなかったことをやりたいと考えていて、医学部にいて人間の生き死に関しての知識をまだ活かせていないのでその分野に関することを一つやりたいと考えているそうです。
二つ目は、もう実現ができそうなもので、弱視の人のための「明るく大きく」というアプリがあるが、その眼鏡バージョンを作ることです。具体的に言うと、夜中の真っ暗な時にそれ眼鏡をかけると昼のように明るく見えるような眼鏡を作っていくことが一番近い夢であると言っていました。
おわりに
熱中小学校にはサウナ部やワイン部などの個性溢れる楽しそうな部活動があるというお話を聞き私も入りたいなという気持ちでいっぱいになりました。浅田さんのアプリは教育分野でも数多く導入されておりこれからもどんどん活躍していくと思います。最後になりますが、これからも私たちは浅田さんの活躍を応援しています。
浅田一憲ウェブサイト – Kazunori Asada: Official Website
AFTER STORYではTEDxSapporoに登壇してくださった方の現在を追いかけていきます。